金型の削り(放電加工前のベース加工)を担当しています。まず図面を見て、そのサイズに合った円柱の金属を発注。材料が届くまでの間にCADで図面を描き、プログラムを作成。材料が届いたら旋盤を使って、金型のベースとなる形状を削っています。この工程で図面寸法に仕上げる部分もありますから、精度にはこだわります。でも、難しければ難しいほど、うまくいった時の達成感が大きいですよ。そして、目だけでなく、耳も大切です。削っている音の変化にも注意して、音の変化があれば機械を止めて確認することもあります。全神経を集中させて、精度のいい金型ができた時は、「これは自分が作ったんだ!」という喜びを味わえます。
ワイヤー放電加工機や放電加工機(電極に電気を流して熱で金属を溶かしながら加工する機械)を使って金型を加工しています。過去のデータを参考にしながら、不安な点があれば先輩に聞き、「これでいけそう」と思えば自分の考えで進めていきます。狙い通りに加工できた時は最高の気分です。でも、6年間で「完璧だ!」と思ったことは1度だけですけどね(笑)。新社長になって、進捗状況をパソコンで確認できるシステムが導入されました。「来週新しい仕事が来るから、今の仕事は今週中に終わらせよう」と、計画を立てやすくなりました。いろいろな機械を使いこなせるようになって、最初から最後まで自分で作れるようになることが、今の夢です。
私の仕事は、最終の仕上げ。顕微鏡をのぞきながら、プレスが当たる部分を滑りやすくするために突起物を取りのぞいたり、ギアの溝の狭いスペースを磨くという細かい作業です。指先をセンサーのように精神を集中して、慎重に作業を進めていきます。仕上げの善し悪しで製品の品質が決まってしまいますし、「前工程の気持ちを受け継いで、いい製品に仕上げるんだ」という気持ちで仕事に打ち込んでいます。現在、先輩社員を引き継いで、若手社員3人で“3S(整理・整頓・清掃)活動”をしています。機械の回りを日頃からキレイにしていると、機械の調子が悪くて油漏れや水漏れがあるとすぐにわかるメリットもあります。3Sは、いい製品を作るための基本です。
当社で製作したすべての金型の中間測定と最終測定を行っています。いわば、私たちが当社の製品の品質を決める最後の砦です。納品するお客様に迷惑を掛けないことが一番大事ですから、「品質を決めるのは自分だ」という気持ちで、毎日仕事に取り組んでいます。仕事の一番のやりがいは、私が評価した金型の善し悪しが、会社の評価となること。だから、手を抜いてしまえば会社の評価まで下げてしまうことになりかねないですし、会社や製品が褒められれば、私の仕事も評価されることになります。最近は現場の人たちにも検査の仕方を指導しています。会社全体の品質に対する意識をレベルアップさせていくことも、部長の私の仕事です。
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